VW TYPEⅡの対抗馬に相応しいCalでVintageなルックスを継承【フォードエコノライン】

61年にファルコンをベースに誕生した初代エコノラインは、エンジンを床下にレイアウトしたキャブオーバーワンボックスバン。当時のVWタイプⅡに対抗すべくリリースされたとの噂。その二代目となるのが68年よりモデルチェンジを果たしたこちらの個体だ。
華麗なるフォード
当時らしさはそのままに快適に乗れる様にアップデート!
'71 FORD ECONOLINE CLUBWAGON CUSTOM
パンプキンやアーリーブロンコなど、当時のフォードは丸目で愛嬌のある表情のモデルが多く、GMとは異なる独特の魅力なるものがある。なかでもこのエコノラインは、シェビーバンやラムバンではなくVWタイプⅡの対抗馬として誕生したというヒストリーから、そのルーツが非常に興味深い。紹介する車両はその初期モデルからモデルチェンジを果たした2代目に当たる。
この世代は68年よりエンジンをフロント搭載に変更してボディサイズを拡大。FR駆動ではあるが運転席と助手席の間に大きなエンジンカバーを設けてセミキャブ的なレイアウトとなっているのが特徴。気持ち程度のボンネットフードを開けたとて心臓部へのアクセスは不可能で、ほとんどの整備が室内のエンジンカバーを開けて行うのがセオリーだ。これはラムバンなども同様に当時のフルサイズバンが室内空間の拡張を確保するための策だったと見て取れる。
ちなみに71年型エコノラインは映画007にも登場しており、科学者のメッツ教授が密輸ダイヤを研究所に運ぶ際、ボンド役のショーン・コネリーがエコノラインの荷室に隠れて研究所に潜入するシーンに、チョイ役ではあるが登場している。主役級の劇中車ではないところも、マニアックでニッチなビンテージバンフリークたちを虜にする理由の一つだ。
さて、気になる現車のスペックへと話を移していこう。オリジナル重視の程度の良い個体といった第一印象ではあるが、室内へと目をやるとシートレイアウトがフルフラット可能な状態へとアップデート済み。インパネ周りの雰囲気は崩さない様に現代的なオーディオは存在感を消しながらもブルートゥース音源に対応。
また、旅先や車中泊、小さなお子様連れの必須アイテムとなるモニターはフリップダウン式のモニターひとつで賄うなど、快適な装備は加えつつもできるだけ当時らしさを損なわない様な配慮が好印象。また、シート一式張り替えのほかカーペットまで新調しており、クリーンなインテリアに仕立てている点も特筆物だ。
昨今ではビンテージランタンやコットンテントといったアンティークなアウトドアギアを愛用するキャンパーたちも増加傾向であり、バンライフにおいてもビンテージへの関心は高まっている。快適に乗れる半世紀前のビンテージバンなんて、まさに理想形ではなかろうか。


この年代ならでは丸目のファニーな表情。センターキャップが大きく張り出した純正ホイールはツートンボディに合わせてクリーム色にリペイント済み。ヒッチキャリアも完備しており、その気になればトーイングも可能だ。






エクステリアのミントグリーンと色合いを合わせて総張り替えされたインテリア。全席リクライニング機能付きでフルフラットが可能。これら作業は日本人の好みに合わせてアクセントガレージが施工したものだ。3列目より後ろにはスペースに余裕があるのでアイデア次第でより快適な車中泊仕様を作り込む事も可能だ。運転席と助手席を仕切る様に存在感のある大きなエンジンカバーやオリジナルのステアリングも味わい深い。
AXENT GARAGE【アクセントガレージ】
TEL:06-6991-9006
HP:https://www.alinks.jp
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン2023年7月号掲載
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