TRANS-AMレースのホモロゲーションモデルとして定められたプリムスバラクーダ

クーペ

ビンテージ

プリマス

ミッキートンプソン

アメマガ2016年1月号

和歌山県

プリマス

426HEMI

AARクーダ

スピードリサーチ

1970y PLYMOUTH AAR ‘CUDA / スピードリサーチ


1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA

1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ

“Vintage Mopars” 官能のヴィンテージ・モパー

専用装備を多く採用するAARクーダ

TRANS-AMレースのホモロゲーションモデルとして定められた最低量産台数2500台をクリアしトータルで2725台が出荷されたAARクーダ 。そのうちオートマチック車が1614台。そしてこの撮影車と同じマニュアル車は1120台と極めて希少な存在。グリル、ガーニッシュがガンメタで塗装される’Cudaに対し、ベーシックのバラクーダ をベースとしているAARはブラック。

またマフラーがリアのスプラッシュパネルを貫通する’Cudaに対し、専用のサイド出しとなるAARは標準のバラクーダ 同様穴の開かないプレーンなタイプ。スクープのあるファイバーグラス製フード、通称“アイブロー”のフロントスポイラー、トランクに付く1ピーススポイラーはAAR専用アイテム。専用の“ストロボライン”グラフィックが何よりも印象的。

1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ フロント

機関系では340モーターの標準が4bblに対し6bbl(290hp)。前後スウェイバー、ショック、リーフはヘビーデューティタイプ、ステアリングギヤボックスはクイックレシオが採用される。ホイール/タイヤは本来4本とも同サイズ(G60)なのに対し、AARのリアはわずかにワイドなE60となる。GM、フォードのライバル達に比べてマイナーな存在ではあるが、独創性に富んだPlymouth が誇るコンパクト・スポーツ・スペシャルティがバラクーダ だ。

ブランド自体が消滅してしまった現在ではコレクタブルなレア・マッスルの代表として外せない存在なのだ。コンパクトモデルとして好セールスとなったバリアントをベースに、スポーティなハッチスタイルにアレンジしたプリムス・バラクーダ 。1964年のデビューのタイミングに、対抗馬となるマスタング が新登場し大ブレイクしたことで、バラクーダ の存在は完全に霞んでしまった…。

それでもバラクーダ には魅力的な点も多く、ハイパフォーマンスパッケージとしてラインナップされた“フォーミュラーS”には273hpのV8が搭載された。
67年には同じAボディ枠のままモデルチェンジを受け、それまでのヨーロピアンなイメージを一新したアメリカンなスタイリングとなる。フォーミュラーSにはビッグブロックの383も追加され、69年型からはハイパフォーマンスパッケージを「'Cuda」に改め、それまでのフォーミュラーSは'Cudaのオプションとし、エンジンは340、383に加え440も選択できた。

1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ ボディ
また、68~69年型では426HEMIを搭載する完全なレース仕様を工場出荷し、NHRAのスーパーストック(S/S)にワークスとしても参戦。その圧倒的な強さは現在のレギュレーションでも変ることがないほど。そのS/S車の活躍がバラクーダ 人気のキッカケになったと同時に、ポテンシャルありきのMOPAR マッスルのタフなイメージも浸透させた。

70年になるとTRANS-AMレースへのワークス参戦に向け、新設計のEボディでモデルチェンジ。レース界のヒーロー、ダンガーニーと手を組み、TRANS-AMレースに参戦。ホモロゲカーは彼のチームであるAARにあやかって「AAR 'Cuda」のネーミングが与えられた。

それでもセールス面ではGM、フォードには及ばず、排ガス規制に対しても潔く見切りをつけ、あっさりと74年型をもって生産を打ち切った。しかし、姉妹車の チャレンジャー 同様にロー&ワイドに特化した独創的なスタイリングに加え、V8最強を誇る426HEMIが設定されたマッスルカー本来のキャラクターを持つ希少なモデルとして現在では多くのファンを獲得する。


オリジナルのAAR ‘Cuda のストックに則ってレストアをしながら、いわゆるナンバーズマッチでなはない個体であることをプラスに受け止め、そのポテンシャルをイージーかつ最大限に満喫するためのアップグレードを施した。エンジン/キャブレターはストックとし、エキマニを名門の専門ブランド、ダグズ製ヘダースにアレンジ。AAR特有のサイド出しレイアウト&チップはそのままでマフラーをアレンジ。

1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ ステアリング

“ピストルグリップ”シフターは専門メーカーであるHurst製だが、70~71年型にだけ採用されたマニュアル車ならではの純正パーツ。トランスミッションはストックだが、クラッチを本来のリンケージ式からハイドロリック式にアップデート。これによってタッチも反応もストック以上に向上。
AARに限らず、6bblキャブレターを装備するモデルでは、専用の大型エアークリーナーによるスペースの関係でエアコンの設定はないが、ここでは社外製品を用いて無理なくインストールしている。

1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ エンジンルーム
運転席のみバケットに変更。ステアリングは希少なオプション「タフ」のリプロ品をベースに、当初装着されていたオリジナルのパッドをインストール。ちなみにAARのギヤボックスはクイックレシオが採用されている。

ライムグリーン&オレンジのコントラストが美しいエンジンルーム。オリジナルの340+6bbl(290hp)はエンジンは、ダグス製のヘダースを装着。油圧クラッチ用マスターシリンダー、エアコン以外はルックス、コンディション共にオリジナルキープ。
 
1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ ホイール
ホイールは70年型からラインナップされたオプションの「ラリー」。ドラッグレース参戦を機にリアにはミッキートンプソン製ETストリート(255/60R15)を組み込んだ。
 
1970y PLYMOUTH AAR 'CUDA、1970y プリマス AARクーダ 足回り
TRANS-AM仕様車といえどもストック状態ではふんわりとした乗り味なため、トーションバーはあえてビッグブロック車用に、リアのリーフもヘミ用に変更。


SPEED RESEARCH【スピードリサーチ】
住所:和歌山県岩出市相谷550
tel:0736-79-6660
HP:http://www.speedresearch.net
マッスル系をメインにヴィンテージアメリカンを専門に扱うスペシャルショップ「スピードリサーチ」。車両販売、メンテナンス、レストアをはじめ、ストックの魅力を生かしてアップデートする“レストモッド”系のカスタムも得意で、積極的に各地のカーショーにも出展している。


■Text & Photos|アメ車MAGAZINE
アメ車マガジン 2016年1月号掲載


最新記事


2025/01/16

2列シートのグランドチェロキーに対応するBCDボディキットの発売を開始

SUV

ジープ

ジープ・グランドチェロキー専用のボディキット「BCD」をプロデュースするセンスが、3列シートのグランドチェロキーL用に続き、2列シートのグランドチェロキーに対応するBCDボディキットの発売を開始した。純正デザインを崩さず、違いを表現したいというニーズが高いだけに、益々BCDを求めるオーナーが増えそうだ。

2025/01/16

アメ車マガジン2025年3月号 絶賛発売中!

雑誌

アメ車に乗る最大の理由「カスタムを楽しみたい」に焦点を当てた特集号。そしてアメ車マガジン初開催のアメ車女子会も完全レポートします!

2025/01/15

【シボレーカマロ】オリジナルへのこだわりを棄てることで手にした悦楽

クーペ

ビンテージ

シボレー

シボレー・カマロといえばアメリカン・マッスルカーの象徴。その誕生は1966年。フォード・マスタングに勝つために生まれたのは有名すぎるストーリー。その初代モデルの中でもSSグレードが、三重県のバーニーズの店頭に並ぶこのクルマである。

2025/01/14

熊本にカスタムカーが大集合、過去最大の盛り上がり!【KCM FESTIVAL 2024】

イベントレポート

アメ車のみならず、オールジャンルのカスタムカーの一大イベント。開場してから終了まで、オーディエンスの入場がひっきりなし! また2025年の盛り上がりにも期待しよう!

ランキング


2025/01/15

【シボレーカマロ】オリジナルへのこだわりを棄てることで手にした悦楽

クーペ

ビンテージ

シボレー

シボレー・カマロといえばアメリカン・マッスルカーの象徴。その誕生は1966年。フォード・マスタングに勝つために生まれたのは有名すぎるストーリー。その初代モデルの中でもSSグレードが、三重県のバーニーズの店頭に並ぶこのクルマである。

2025/01/14

熊本にカスタムカーが大集合、過去最大の盛り上がり!【KCM FESTIVAL 2024】

イベントレポート

アメ車のみならず、オールジャンルのカスタムカーの一大イベント。開場してから終了まで、オーディエンスの入場がひっきりなし! また2025年の盛り上がりにも期待しよう!

2025/01/13

ノーマル?ローダウン?リフトアップ?アナタならどのハマーH2を選ぶ?

SUV

ハマー

素のままでも十分過ぎるほど強烈なインパクトを放つハマー・H2。だがそれでは満足できずにさらなる高みを目指すためカスタムを施す。今回はノーマル、ローダウン、リフトアップ、3車3様の違いを検証。

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger