カスタムペイントの常識を覆す、奥深き彫刻アートの世界観【IZAWA ART DESIGN】
マスタングやチャレンジャーなどのグラフィックゴーストペイントに加え、オリジナルエアロパーツの開発でも誌面を賑わせるローハン。その原点にして最高傑作が、この1958年型インパラ。カーカスタムの概念を超え、芸術作品の域と絶賛されるその魅力を紐解く。
世界で絶賛された、日本が誇る匠の神技が凝縮
ROHAN IZAWA ART DESIGN
https://www.rohan-izawa.com/
'58 Chevrolet Impala
2018年のSEMAショー出展、そして2019年の東京オートサロンでは「国際カスタムカーコンテスト」で最優秀賞グランプリを獲得。2019年10月の東京モーターショーでも絶賛されて、2020年にはカリフォルニア州のサンディエゴ自動車博物館に招待されるなど、日本のみならず世界各国で脚光を浴びたローハンの代表作1958年型インパラ。
以前はグラフィックペイントやミューラル、ピンストライプなどがカスタムペイントのセオリーだったが、グラインダータトゥにジャックポッドフラッシュ、ダイヤブロックにゼブラウェーブ、エングレービングなどのテクニックを凝縮させて生み出す立体感、そして自社開発のメタル塗料「IZMETAL」が可能にした重厚感溢れるメタル感の表情は、そのすべてがカスタムペイントシーンの常識を覆す新時代の幕開けを予感させたことが記憶に新しい。
当時のメディアは井澤氏をアーティストと称賛し、このインパラそのものが「走る芸術品」として脚光を浴びた。その注目度はNHKが世界に発信する国際放送「NHKワールド」でも紹介されるほどだ。
ボディ前面のみならずダッシュボードやリアウィンドーの内側まで取り入れたエングレービング彫刻においては左手の甲を疲労骨折するほど、繊細で高度な彫刻手法に妥協を辞さない姿勢。そして塗装前のチリ合わせやフロアパネルを新調、フレームの復元はもちろん、半世紀以上前の個体ながらモール類なども一番状態の良い物を探してきて装着するなど細部まで徹底的にこだわり、ルーフからクルーザースカートまで、そのすべてに手を加えるストイックな芸術作を長い年月をかけて完成させた。
その圧倒的存在感に魅了されるあまり、SEMAショー搬出後のパレードランでは警備員も仕事を忘れて、その美しさの釘付けになったという逸話まで存在する。
カスタムカーカルチャーに興味のある者でなくとも、目を奪われる美しさ。アメ車にまったく興味を示さない人をも虜にする圧倒的存在感。孤高の存在にして唯一無二の日本を代表する名作として、10年、20年先も語り継がれるであろう最高傑作と言える。




細部を切り取ったカットを見れば、その凄まじさは一目瞭然。ボンネットフードのエングレービング、ジャックポッドフラッシュ、ダイヤブロックにゼブラウェーブを組み合わせたグラフィカルな立体的芸術をIZ METALで一層際立たせる。また、リアウィンドーから1958 年型インパラ特有の個性的なテール周りに至るまでの造型を加味した精巧なテクニックのアレンジこそ、カスタムペイント職人ではなく、世界が彼をアーティストと称賛する所以である。


エクステリアとインテリアを別物として捉えることなく、クリアガラスから見えるダッシュボードなどのインテリアもすべてボディと考察し、エクステリアからの一体感をもたらす姿勢も特筆物。またドア内張りにはグラインダータトゥが刻まれる。
株式会社 IZAWA ART DESIGN
所在地:奈良県橿原市常盤町495-1
TEL:0744-29-8090
URL:
https://www.rohan-izawa.com/
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年11月号掲載
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