伸びやかなロングノーズ、引き締めるロングテール、隙のないそのフォルム【インパラ コンバーチブル】

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ビンテージ

シボレー

アメマガ2024年1月号

インパラ

インパラ コンバーチブル

AMERICAN VINTAGE

AMERICAN VINTAGE -色気漂う「アメリカンビンテージ」-


端正なスタイルと充実装備、欲しい物がすべて揃った一台

1962 Chevrolet Impala Convertible

一般的には大衆車ブランドとして知られていたシボレーではあったが、1950年代半ば以降というもの、そのデザインと装備は上級ブランドに匹敵する存在にまで成長した。そうした流れの象徴というべきモデルがインパラであり、とくに1960年代に入ってからのモデルは庶民にも手が届く豪華さの象徴にほかならなかった。

プレミアムかつベストセラーモデル

1950年代に入ってからというもの、GMの中核をなすブランドだったシボレーは、より質感の高い豪華なクルマを求めるユーザーの声に答えるかのように、新たなグレードを次々に投入していった。その第一弾というべき存在がいわゆる「ベルエア」であり、続いて1958年モデルからスペシャルパッケージとしてデビューしたのが「インパラ」だった。

インパラは翌1959年モデルから独立したグレードへと昇格し、以後はまさにシボレーフルサイズを代表するメインモデルへと成長していった。1960年モデルまでは、戦後最初の旧型シャシーをベースに、リアサスペンションを手直ししつつホイールベースを延長するなどして乗り切ってきたものの、1961年モデルからは従来のラダーフレームをXメンバフレームへと一新するフルモデルチェンジを実施。サスペンションも新設計となったことで、ハンドリングと乗り心地が大幅に向上したことで、プレミアムグレードとしての価値を一層高めることに成功したと言って良かった。

 

その結果、インパラを頂点とするシボレー・フルサイズは年々販売台数を増して、折からの好景気を背景に大ベストセラーモデルへと成長していった。なおGMにとってもことのほか力が入る存在だったことを証明する事実として、この年代のシボレーは毎年のようにフェイスリフトを含めたマイナーチェンジを受けていた事実がある。マイナーチェンジとはいえ、ボディ外観デザインやインテリアを一新するほど大規模なもので、コアなユーザーは毎年のように乗り換える例も珍しくなかった。

シリーズの頂点としてのコンバーチブルだった

紹介するのは1962年型シボレー・インパラ2ドアコンバーチブルである。前述のとおり、インパラはもともとベルエアの中のスペシャルパッケージとして、2ドアハードトップと2ドアコンバーチブルのみで登場したという経緯があり、コンバーチブルはまさに「らしい」一台だった。

 

なおこの1962年モデルから2ドアハードトップのインパラは下位のベルエアとは異なる専用のルーフデザインが採用されており、そのシルエットとディテールはあたかもコンバーチブルのソフトトップをハード化したようなユニークなデザインとなっていた。すなわちインパラはコンバーチブルこそがアイデンティティの継承者に成長しつつあったということである。

ちなみにコンバーチブルの中には、今回紹介しているスタンダードモデルのほかにいわゆるSSパッケージが用意されており、フロントセパレートシート、センターコンソール付きフロアシフター、専エア、そしてその下にベーシックグレードのビスケインという3モデルとなっていた。

 

ボディバリエーションはビスケインが2ドアセダンと4ドアセダン、そして6人乗りステーションワゴン。ベルエアはこれに2ドアハードトップと9人乗りステーションワゴンがプラスされ、さらにインパラになると2ドアセダンが無くなり、2ドアコンバーチブルと4ドアハードトップセダンが加わるというものだった。

エンジンのラインナップはいずれも235.5CIの直列6気筒もしくは170hp仕様の283CIのV8を標準に、250hp仕様の327CI(RPOコード300)、300hp仕様の327用インテリア、専用エンブレム&ホイールカバーなどで構成されていたが、基本となるメカニカルコンポーネンツはスタンダードと同じだった。

 

コンバーチブルは、たとえスタンダードモデルでも、そのプレミアム性の高さゆえにオプションパーツを多数装備した状態で販売された例がほとんどで、結果としてSSはスタンダードなりの個性がしっかりと反映されていたということである。

多彩なオプションとエンジンラインナップ

1962年型シボレーフルサイズのラインナップは最上級のインパラの下にミドルグレードのベルI(RPOコード397)、380hp仕様の409CI(RPOコード580)、409hp仕様の409CI(RPOコード587)の合計6種。今回の個体に搭載されているのは250hp仕様の327CIであり、扱いやすい丁度良いパワーで多くの個体に装着された人気オプションだった。

トランスミッションは3速マニュアルを基本にパワーグライドオートマチック、4速マニュアルという構成。オートマチックはスタンダードがコラムシフターだったのに対して、既述したとおりSSはフロアシフターとなっていた。このほかのオプションはアウターのトリムからインテリア、さらにはパワーウインドーやパワーシート、エアコンなど多岐にわたっており、好みの仕様を自由に組み立てることができたのはこの時代のアメリカ車の定番である。

膨大な販売台数を記録、売れ筋モデルの決定版

一般に自動車メーカーにおいて、もっとも多くの販売台数を計上するのはベーシックカーであるという認識を持っている人は多いと思う。ところがこの時代のシボレーほか、アメリカのメーカーの多くでは、最上級モデルこそが一番の売れ筋だった。

具体的にはこの年、すなわち1962年モデルでのシボレーフルサイズの場合、その総生産台数は142万4100台だったのに対して、インパラは実に半数の70万4900台に達していたのだから。なおSSパッケージは9万9311台、2ドアコンバーチブルは7万5719台というもの。SSとコンバーチブルの中には重複した数が含まれていたものの、それでも半数近くがインパラだったという事実には驚かされる。

 

それには、最上級グレードとはいえその価格が決して高いものではなかったことが大きく作用していた。コンバーチブルはインパラにしか存在しなかったためほかと比較できないものの、すべてのグレードにあった4ドアセダンでの比較では、ビスケインとインパラの間の差は、2485ドルに対して2769ドルと、300ドルに満たなかったのだから。ちなみに300ドルは純正オプションエアコンの価格に近かった。

 

インパラはこの後数年にわたってシボレー最強の人気モデルであり続けた。中でもコンバーチブルはみんなの憧れだったことはいうまでもない。

スイッチひとつさえもないがしろにしないディテールの妙!

鋭くエッジを描くフロント周りは翌年のモデルにも継承される人気のポイントだった。このグリルはスチール&クロームメッキではなくアルミのプレス製品だった。錆に強いディテールとあって、アルミパーツはこの後もしばらく使い続けられた。

ウインドーシールド上部のアンチグレアスモーク部分に注目。これは当時からアメリカ車の多くがウインドーシールドに安全性の高い合わせガラスを使っていたことから採用できた。フルワイズのテールガーニッシュパネルはフロントグリルのデザイン及びシルエットと調和が図られたものだった。

ちなみにこのパネル全体もアルミ製である。この年代のシボレーフルサイズはフロント&リア共にデザインは毎年変わっていた。フロントフェンダー、ドア、リアフェンダーと連続するキャラクターラインとモールには隙というものが一切存在しない。1950年代のデコラティブなディテールとはまた一線を画する1960年代ならではのシンプルさと豪華さが混在した魅力的なポイントである。

インパラは初年度からSAE規格の4灯ヘッドライトが採用されていた。この規格がアメリカで登場したのは1957年モデルからのことである。サイドミラーは一見シンプルなデザインなのだが、よく見るとステーといいミラーといい無駄がない。フューエルフィラーリッドにもクロームのデコレーションパーツ。これもまたアメリカ車ならではのデザイン。

ホイールキャップは幾つか用意されていたが、これはインパラのスタンダードモデル。片側3連のテールランプはインパラの外観における特徴だった。ベルエアとビスケインは片側2連だった。

エンジンはオプションのRPO300こと327cuinの250hp仕様V8である。それほどハイチューンというわけではなく、かといってパワー不足というわけでもない扱いやすい実用ユニットだった。エンジンの右上に見えるのはこれもオプションだったパワーブレーキのブースター。ほぼノーマルのルックスである。 

フロントフェンダーのエンブレムは搭載エンジンを表していた。Vとクロスチェッカーフラッグのこれは327ユニットを意味していた。

インストルメントパネルも、1960年代に入り1950年代とは明らかに異なるシンプルなものへと姿を変えていた。メーターフードなどはソフトパッドではなくプレスで成形されたスチールをペイントしたもの。相当に凝ったデザインであることは間違いない。

このデザインは1961年モデルからディテールを手直ししつつ1964 年モデルまで継承された。オートマチックのコラムシフターはスリムかつ操作性の良いデザインにまとめられていた。マニュアルも同様である。スリムなルームミラーの美しいデザインは同年代の日本車などとは一線を画していた。ダッシュボードのセンター下部にはヒーター&ベンチレーターのコントロールをセット。

高級家具を思わせるエンボス加工が施されたフルトリムインナードアパネルはオプション。ベンチシートのお手本のようなデザイン。サポート性はともかく快適な空間である。


1962 Chevrolet Impala Convertible
全長 209.6in(5323.8mm)
ホイールベース 119in(3022.6mm)
エンジン種類 水冷V 型8 気筒OHV
総排気量 327cu:in(5330㏄)
内径×行程 4.00×3.25in(101.6×82.55mm)
最高出力 250hp /4400rpm
最大トルク 350lbs / 2800rpm
燃料供給装置 4バレルキャブレター
トランスミッション 2速AT
サスペンション・前 ダブルウィッシュボーンコイル
サスペンション・後 トレーリングアームコイル
ブレーキ・前 ドラム
ブレーキ・後 ドラム
トレッド・前 60.3in(1531.62mm)
トレッド・後 59.3in(1506.22mm)
タイヤサイズ 7.50×14
車両重量 3560lbs(1615kg)


解説/矢吹明紀
写真/柳澤岳男
アメ車マガジン 2024年1月号掲載


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