【脱・ダッジ】RAM 1500が「ラム」ブランドの新たなアイデンティティを追求する!

ピックアップトラック

ラム

RAM1500

ラム1500

American Cars Best20

アメマガ2018年3月号

RAM1500の進化を追う。ダッジから独自ブランドへ移行したフルサイズピックアップトラックのアイデンティティの変化を紐解く。クライスラーの歴史を背景に、RAM1500のフロントマスクデザインの進化を解説。独自のブランドアイデンティティの確立と未来の方向性に注目!
American Cars Best 20
RAM 1500(ラム1500)1981y-


RAM 1500(ラム1500)1981y-

2018 Ram 1500 Rebel Crew Cab 4x4

American Cars Best 20

「ダッジ・ラム」の時代から日本でも人気のフルサイズピックアップトラック。大きなラジエーターグリルが中央に構えたフロントマスクは、アメ車ファンの憧れとも言える。さまざまなスペシャルエディションのリリースにも積極的だ。

2018 Ram 1500 Laramie Limited

2018 Ram 1500 Laramie Limited

2018 Ram 1500 Laramie Limited

2018 Ram 1500 Laramie Limited

2018 Ram 1500 Rebel Crew Cab 4x4

下に並べたラム1500の写真はすべて現在販売中の2018年モデルだが、大きく分けて3種類のフロントマスクが存在することが分かる。ここに、現在のラム1500の置かれた状況が現れている。 2009年、いわゆるリーマンショックのあおりを受けた世界的な景気後退の中で、クライスラーLLCは経営破綻、連邦破産法の適用を申請し、再生手続きを行なった。

その過程で資本参加したイタリアのフィアットSPAの傘下に入る方向が明確になった。 そこで出てきた施策のひとつが、ピックアップトラックおよびミニバンを除くバンの事業はダッジブランドから独立させて新たなブランドに受け継ぐというもので、その新ブランドのネーミングとして「ラム」を採用した。

同時に、それまで「ラム」という名前で呼ばれていたピックアップトラックは、「ラム」ブランドの「1500」という名前のトラックに変わったのだった。もともと「ラム」はダッジブランドのピックアップトラックの名前だったのに、それがいきなりブランドの名前になったので、それを心得ていないと「ラム」に関するニュースは非常に分かりにくくなってしまった。

2018 Ram 1500 Rebel Mojave Sand Crew Cab 4x4

こうした事情はメーカーの一方的な事情によるものでユーザーにはほぼ関係ないのだが、その影響が最初に書いたフロントマスクに影響しているのだ。つまり、ラム1500はすでにダッジブランドのクルマではないので、ダッジのアイデンティティであるクロスヘアグリル(フロントグリルの十字デザインのこと)を付けたままでは整合性が取れないのである。

そこで現在は段階的にクロスヘアグリルからの脱却を図っている。2016年モデルで追加された「レベル」は、それまでのラム1500とはまったく異なるフロントマスクを採用した。しかもグリルの中央には「RAM」の文字をハッキリとアピール。 レベルはもちろん、フォードのF-150で注目を集めたラプターの対抗馬であり、デビューと同時にラム1500の販売台数の多数を占めることになった。

そのように市場性の高いモデルで「ラム」ブランドをアピールしたのである。 続いて2017年には、最上位の2グレードとなるリミテッドとララミー・ロングホーンに、クロスヘアグリルでもレベルグリルでもない第三のフロントマスクを採用した。こちらにもグリル中央には「RAM」の文字が配置されており、やはりクロスヘアグリルではないラム1500を印象付けるためのものだ。

そしてさらに、ラム1500は2019年モデルで次世代型へとモデルチェンジすると言われているが、ネット上で語られているテスト車両の目撃談は、新型ラム1500にクロスヘアグリルは無かったというものばかりだ。 現行モデル最後の年ということもあって、スペシャルエディションが多数リリースされている。

下に写真を並べたが、ハーベストエディション、ハイドロブルー・スポーツ、サウスフォーク、リミテッド・タングステンと多彩である。これら4車種のうち、3車種までがクロスヘアグリルではないフロントマスクを採用している。これは偶然ではなく、ラム1500の今後の方向を示しているのだ。

 HFE Quad Cab 2WD Lone Star Silver Editon Harvest Edition Hydro Blue Sport Laramie Longhorn Southfork

Limited Tungsten Edition
2018 Ram 1500 Rebel Crew Cab 4x4 Specifications
全長 5816.5㎜
全幅 2017.4㎜
全高 1970.4㎜
ホイールベース 3569.4㎜
トレッド 前 1742.2㎜/後 1727.4㎜
重量 2447kg
エンジンタイプ V6 DOHC
総排気量 3.6?
内径×行程 96.0㎜× 83.0㎜
圧縮比 10.2 : 1
最高出力 305hp/ 6400rpm
最大トルク 37.2kg-m / 4175rpm
燃料供給装置 電子制御マルチポートインジェクション
変速機 8AT
EPA燃費 市街地7.6㎞ /?/高速10.6㎞ /?
サスペンション前 ショートロングアーム・エアスプリング
サスペンション後 5リンク・エアスプリング
ブレーキ前 ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後 ディスク
タイヤサイズ前後 LT285/70R17

B Series 1948-53

1947 Dodge Stake Bed Truck

ダッジブランドのピックアップトラックに「ラム」という名前が付く前の時代、第二次世界大戦後の最初のモデルがこれ。まだ戦前のデザインを引きずった印象がある。しかしフロントマスクのメタルバンドはクロスヘアグリルの萌芽に見えないだろうか。

D Series 1961-80

1977 Dodge Power Wagon Adventurer Club Cab こちらも「ラム」前史のモデルである。写真の「パワーワゴン」は、ダッジブランドの4WDピックアップトラックに付けられていた名前で、この後1981年モデル以降は2WDも4WDも「ラム」に一本化された。リトルレッドもこの時代のモデルである。

1st Generation 1981-93

1990 Dodge Truck D150 LE Club Cab

 今に至る「ラム」という名前が初めて付けられたモデル。写真は1990年モデルだが、このクロスヘアグリルは1986年モデルからのもので、それ以前のラムには当時のダッジバンと同じような格子グリルが付いていた。

2nd Generation 1994-2001

2001 Dodge Ram 2500

初代ラムまでのダッジのピックアップトラックは、他車から抜きん出た特徴が無かったため、販売面でも見るべきものはなかった。しかしこの第二世代は大胆な局面デザインを採用し、さらにレトロチックなフロントフェンダーデザインなどで注目を集めるに至った。

3rd Generation 2002-08

2002 Dodge Ram 1500

先代モデルで成功したスタイリングをもっと押し進め、ラジエーターグリルやヘッドランプを大型化、さらに増した迫力を武器にファン層を拡大していった。さまざまなスペシャルエディションが企画されるようになったのもこの世代からだった。

4th Generation 2009-

2009 Dodge Ram 1500

先代モデルと似ているようで似ていない、確実に進化した結果、さらなる迫力を身にまとった第四世代。2010年モデルからはラムブランドへと移行、その後、随所に配置されていた「DODGE」ロゴは順次「RAM」ロゴへと切り替えられていった。


CUSTOMIZED MODELS ドリフト競技にもマジ参戦

AM3I0014

過激なチューニングが施されたストリートスポーツモデルが並ぶドリフト大会に「マジ」参戦するなど、競技用スポーツトラックとして最前線を走るレーストラック・チューニングの05年型ラム。競技中と一般道でマフラーを切り替えることも可能にするなど、オールラウンダーな面も持っている。

http://www.racetruck-trends.co.jp

第一回amZ 最優秀モデル

AM3I0069 AM3I0088 AM3I0131 AM3I0112

このラムを見て、カスタムがすべてDIYだと思う人はまずいないだろう。でもそれは事実で、オーナーさんご本人とそのご家族の作品なのだ。ペイントもそう、リフトアップキットの組み込みもそう、各種パーツの調達や取り付けもそうなのだ。聞くと、それはお父上から受け継いだ考え方、やり方なのだそうだ。


RAM_Badge_on_White_v

ラムの話をすると、どうしてもダッジブランドとの関係に触れざるを得ないのだが、ラムブランドへの移行後にもラム1500に残ったものがある。それが「ラムヘッド」だ。 ご存知ラムの頭部をかたどったエンブレムで、ダッジブランドを表わすものとしてメインロゴとしてはもちろん、ラム以外の車種にも使われてきた。しかし今はダッジでは使われなくなり、ラム1500のクロスヘアグリル中央には今もこれが輝いている。

まさか「ラム」の頭をラムブランドに渡さずダッジブランドが使い続けるわけにもいかないだろう。それほどに「ダッジのラム」というイメージが根強いのだが、モデルチェンジでフロントマスクのデザインが変われば、すなわちクロスヘアグリルがラム1500から無くなればということだが、徐々に新たなラムブランドのイメージも定着していくに違いない。

逆に直近では今までのクロスヘアグリルの付いたダッジ・ラムおよびラム1500の人気が上がる可能性もある。今のところ、2009年モデルからの現行型の人気が一番高いが、先々代あたりの丸いスタイルに癒されるという人も現れるのではないだろうか。

https://www.ramtrucks.com


Text|アメ車MAGAZINE アメ車マガジン 2018年 3月号掲載

最新記事


2024/12/05

【ウイングオート】走りを楽しむためには、予防整備が非常に重要

メンテナンス

FORDのグローバルサブディーラーであるウイングオート。クルマを走らせる楽しさも提案するが、その楽しさをしっかり体感するにはメンテナンスも重要。新たにマスタングデビューするユーザーのために、予防整備に取り組み始めた。

2024/12/04

女性アメ車オーナーが主役!『アメ車ガールズミーティングin 稲フォルニア』

アメマガミーティング

イベントレポート

アメ車マガジン主催による2024年四度目のイベントは初となるアメ車女子イベント「アメ車ガールズミーティング in 稲フォルニア」が12月1日(日)、稲フォルニアイベントスペースで開催された。

2024/12/04

【FAMOUS FORGED】量産品では得られないオンリーワンの個性を拘り尽くせ!

ホイール

カーカスタムカルチャーにとって要となるのがボトムス。足元を制する事はクルマの方向性やスタンスを決定づけると言っても過言ではない。選ぶならオンリーワン!フェイマスフォージドで決まりだ!

2024/12/03

アメ車&ドイツ車を専門に扱う日本有数の解体ショップ【T&K インターナショナル】

メンテナンス

ショップ

MAINTENANCE of AMERICAN CARS
解体屋ならではの迅速な対応でアメ車乗りをサポート

ランキング


2024/12/04

女性アメ車オーナーが主役!『アメ車ガールズミーティングin 稲フォルニア』

アメマガミーティング

イベントレポート

アメ車マガジン主催による2024年四度目のイベントは初となるアメ車女子イベント「アメ車ガールズミーティング in 稲フォルニア」が12月1日(日)、稲フォルニアイベントスペースで開催された。

2024/12/05

【ウイングオート】走りを楽しむためには、予防整備が非常に重要

メンテナンス

FORDのグローバルサブディーラーであるウイングオート。クルマを走らせる楽しさも提案するが、その楽しさをしっかり体感するにはメンテナンスも重要。新たにマスタングデビューするユーザーのために、予防整備に取り組み始めた。

2024/12/03

アメ車&ドイツ車を専門に扱う日本有数の解体ショップ【T&K インターナショナル】

メンテナンス

ショップ

MAINTENANCE of AMERICAN CARS
解体屋ならではの迅速な対応でアメ車乗りをサポート

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】