ランチェロを毎日乗り回せる、その秘密とは FORD RANCHERO【Car-Producer K&G】

ピックアップトラック

ビンテージ

フォード

Car Producer K&G

ランチェロ

カープロデュース K&G

アメリカンビンテージvol.01

Ford RANCHERO


Ford RANCHERO

Ford RANCHERO、フォードランチェロ

ピックアップトラック というジャンルにあって、 エルカミーノ よりも希少車とされる ランチェロ 。23年間の長きに渡り生産されたロングセラーモデルだが、その中にあってグラントリノと同じフロントマスクを持つ1972年以降の個体は、スタイリッシュかつスポーティであることから、“ ランチェロ を買うなら、この年代”そう考える人は多い。ここに紹介する ランチェロ は、毎日乗り回せるように仕上げられた一台である。

クルマは走らせてこそ意味がある

例えば、ランチェロに毎日乗る… これは、ヴィンテージを持つ者の憧れである

Ford RANCHERO、フォードランチェロ

ピックアップモデルの専門ショップ K&G 。代表の金澤氏自身が毎日乗りこなしている、この ランチェロエルカミーノ よりも希少な ランチェロ をあえて選んだという。カスタマイズポイントは、エンジンスワップ。入手した時には、もとのV8を搭載していたのだが、それを走れる状態にするには、当然部品が必要。取り寄せようとしたところに思わぬ障害が出てきてしまった。

この ランチェロ が製造されていた当時、エンジンを製作していた工場が2つあったらしいのだ。まずは、この ランチェロ のエンジンが、どちらの工場で製作されたのかを特定できない限り、必要とする部品の番号すらも判らないという。工場を特定しようにも手掛かりが掴めず、パーツ入手はお手上げ状態になってしまった。


また、もともと金澤氏がこの ランチェロ に求めたのは「面倒な調整不要で、毎日乗れる仕様」。行き詰まっていたところに、アメリカのEVSモータースなどが、 カマロマスタング に同じ2JZを搭載していたことに思い当たり、決意。「日本製のエンジンに換装しよう。日本製ならチューニングパーツも豊富だから、最終的には1000psも不可能じゃない」。エンジンルームを覗くと、そこには確かにトヨタのロゴが入った直6があった。

ラジエターやエアクリーナー、パワステ、コンピュータ、そして4ATが完全に移植され、ターボということもあるが、内部がV8よりもギッシリ濃く見えるのは、これらパーツが持つ性能の、可能性の広がりを感じるからだろうか。ブレーキのマスターシリンダーはオリジナルを使っているが、よりハードなチューニングを施した際には、ここにも手が加わるはずだ。

ハードな心臓移植の一方、スタイリングはオリジナルに近い。走りのパフォーマンスを高めるため車高を落としているものの、リアショックはエアサスで車高調整を可能にし、ピックアップとしての実用性を保持している。インテリアも同様に、コラムシフトもそのままで、一見しただけでは、まさかトヨタの4ATがインストールされているとは思えない。

油圧/電圧/水温といったメーターを追加し、ビンテージエアー製エアコンも装着。インテリアパネルやシートはリフレッシュされており、申し分のない快適さ。さて、気になるその走りだが、金澤氏は「ここまでやったんですから当たり前ですけど、非常にスムーズですよ」と語る。V8らしいダイナミックなトルク感に代わって、俊敏な加速力を見せつける。

ヴィンテージカー だからといって、週末にしか乗らないのはもったいないし、毎日乗るからこそ、コンディションも見えてきます。今回採った手法を邪道と感じる人もいるかもしれませんが、眺めているだけでは、クルマの楽しみ方として十分とは言えない。やはり、クルマは走らせてこそ意味があるものではないでしょうか?」。“ビンテージに毎日乗れる幸せ”がここにある。

トヨタの2JZ型直列6気筒

エンジンは、何とトヨタの2JZ型直列6気筒。ツインターボが標準装備となっており、カタログスペックでも280psを発揮。「アメ車に日本車のエンジンなんて…」と思う向きもあるかも知れないが、実はアメリカ本国では意外とメジャーなエンジンスワップメニューでもある。



オリジナルの雰囲気を崩さずに、ビンテージエアー製のエアコンやスピーカーを追加することで、長距離ドライブに出掛けたくなるインテリアを演出した。




V8エンジンの場合、その状態をリアルタイムに把握するのに追加メーターは必須。しかし、この個体の場合、エンジンは日本製に換装しているので、本来は、追加メーターは必要ないのだが、今後、さらなる進化を予定していること、アメ車としての雰囲気を楽しむのに有効であることから、メーターは装着された。



2ドアスポーツクーペに、ユーティリティ性を持たせた独特のスタイリング。国産車のような機能性を重視したトラック然とした形とは対照的だ。キャビンからデッキ部分へと繋がる一連のラインは、まさにキャラクターラインと呼ぶに相応しい。オリジナルの雰囲気を色濃く残している落ち着いたエクステリアからは、エンジンスワップを微塵にも感じさせない。



テールゲートを倒せば、ソファーベッドも積み込めるほどの積載能力を有する広大なベッドが現れる。 ランチェロ は、クーペとしての走り、ピックアップとしての積載性を合わせ持った、ある意味欲張りなモデルなのだ。



 2JZが生み出す強烈なトラクションを確実に路面に伝えるため、リアタイヤは255/60R15に変更。あえてハイパフォーマンスがウリの最新タイヤを選択するのではなく、クルマのスタイルに合ったモノを選んでいる。


■取材協力:Car-Producer K&G
HP:http://kandg.sharepoint.com/

■Text & Photos|AMERICAN VINTAGECAR magazine

アメリカンビンテージvol.01


関連記事

RELATED


フォードのセダンピックアップ「ランチェロ」という選択 フォードランチェロ【フォードライブクロスフィールド】

セダンピックアップにおいて、シボレー・エルカミーノと人気を二分するのが、フォード・ランチェロ。日本国内ではエルカミーノの人気・注目度が高く、ランチェロはレアな1台でもある。

シボレーC-10が最も〝ヴィンテージ〟だった時代の最終モデルと言える一台

アメリカンビンテージvol.01
Chevrolet C-10

ミドルクラスの大衆車 1965y FORD FALCON / コルベット初代モデルC1 1961y Chevrolet CORVETTE C1 【フルスロットル】

1965y FORD FALCON 現代のクルマとして快適に乗れるスタイリッシュクーペ/1961y Chevrolet CORVETTE C1 アメリカン・スポーツカーの歴史は、このクルマから始まった

乗用車スタイルの2ドアピックアップのランチェロは、超がつくほどマニアック

アメ車乗りたちの素顔
'64 Ford Ranchero
owner : Shiho Kouno

1974y フォード マーキュリークーガー XR7の「これぞアメ車!」な内外装【ガレージジョーカー】

上級コンパクトが代名詞「マーキュリー・クーガー」。1971年以降からはリンカーンのミニサイズを思わせる上級なデザインで、日本人が思い浮かべるまさにザ・アメリカ車に進化した。

今回はそんな豪華なマーキュリーブランドの魅惑的な内装・外装・機能について語っていこう。ノスタルジックな時代を感じさせるデザインにうっとりすること間違いなし。

 

最新記事


2023/03/31

イメージは軽井沢の別荘地ミッドセンチュリーを組み合わせ自然と暮らす家

HOUSE

山に囲まれた小高い丘に建つ平屋建ては、別荘を連想させる。野村さん夫婦が思い描いた住宅と周辺環境のテーマは、大好きな軽井沢とアメリカンモダンデザイン「ミッドセンチュリー」の融合。自然を感じながら、毎日がバケーション!

2023/03/30

大排気量のマッスルカーよりも、唯一無二の存在というべきカスタムカーの方が好きだった

オープン

フォード

クライスラー300を皮切りに、V8 チャレンジャー、そしてこのマスタングと乗り継いできたオーナー氏。誰もが一度は大排気量のマッスルカーに乗りたいと思うが、いざ乗ってみて分かったことは「マッスルよりもカスタムカーが好き」という事実だった。

2023/03/29

「初めての愛車はシボレーSUV」。20代の頃、コンビニで立ち読みしたアメマガを見て、決意!

SUV

シボレー

「初めての愛車はシボレーSUV」。20代の頃、コンビニで立ち読みしたアメマガを見て、そう決意した吉田さん。金銭的な問題で初の愛車は国産コンパクトカーにしたが、入社した会社の同期がタホに乗っていることを知り、負けていられないと、夢のアメ車購入へ踏み出した。

2023/03/28

ビンテージアイテムに特化した「KANCHI HOUSE」を紹介しよう。

ショップ

アメ車に乗っていたら、やっぱりアメリカンカルチャーは否応なしに気になるもの。以前から全国各地のアメリカン雑貨専門店を紹介してきたが、今回はその中でもビンテージアイテムに特化した「KANCHI HOUSE」を紹介しよう。

ランキング


2021/02/10

【GMC タイフーン】モンスターSUVの異名を誇る、90年代を代表するプレミアムカー!

SUV

1992 GMC TYPHOON

2022/07/14

チャレンジャーとチャージャー、実はこの2台は双子の様な存在と言える。

セダン

クーペ

ダッジ

2019 DODGE CHALLENGER R/T SCATPACK WIDEBODY[SUBLIME]
2018 DODGE CHARGER DAYTONA392[YELLOWJACKET]

2023/03/31

イメージは軽井沢の別荘地ミッドセンチュリーを組み合わせ自然と暮らす家

HOUSE

山に囲まれた小高い丘に建つ平屋建ては、別荘を連想させる。野村さん夫婦が思い描いた住宅と周辺環境のテーマは、大好きな軽井沢とアメリカンモダンデザイン「ミッドセンチュリー」の融合。自然を感じながら、毎日がバケーション!

2023/03/29

「初めての愛車はシボレーSUV」。20代の頃、コンビニで立ち読みしたアメマガを見て、決意!

SUV

シボレー

「初めての愛車はシボレーSUV」。20代の頃、コンビニで立ち読みしたアメマガを見て、そう決意した吉田さん。金銭的な問題で初の愛車は国産コンパクトカーにしたが、入社した会社の同期がタホに乗っていることを知り、負けていられないと、夢のアメ車購入へ踏み出した。