クルマは走ってナンボ外装のレストアは最後!!

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アメマガ2021年11月号

東海カーズ

AMERICAN VINTAGE

1968 CHEVROLET CAMARO
produced by TOKAI CARS

AMERICAN VINTAGE -色気漂う「アメリカンビンテージ」-


ボロいですが何か!?

'68 CHEVROLET CAMARO
produced by TOKAI CARS

アメ車に限った話ではないが、数年前からビンテージカーのプライスは急上昇中。最新の「誰が乗っても速い」クルマとは違い、乗り手を選ぶのは当たり前。優等生な現代車にはない味わいは魅力的だが、そのクルマの中身をキチンと見てから購入して欲しいとカーズの細井さんは語る。

クルマは走ってナンボ外装のレストアは最後!!

「一口にビンテージカーといっても、大きく分けると『動くクルマ』『乗れるクルマ』『走るクルマ』の3つに区別されるね」と、のっけから爆弾発言をしてくれる東海カーズの細井さん。実はそのとおりで、同じように思うかも知れないが、その言葉に込められた意味はまったく違う。しかも残念なことに、走りのポテンシャルをないがしろにされている車両ほど、外観にばかり力が入れられていて、まるでメンテナンスされていなかったりする。しかも、未だにアメ車に乗っていない人に限って「アメ車=壊れる」というマイナスイメージを持っているが、それらはメンテナンスされていない粗悪品がはびこった結果とも言える。

'68 CHEVROLET CAMARO

確かに「他の人が乗っていないレアなクルマに乗る優越感」は格別ではあるが、ビンテージカーをファッションのような気軽な気持ちで付き合うと痛い目を見ることにもなりかねないことも覚えておいてほしい。 そして細井さんは「正直なところ、予約をしてからお店に行かれるのはどうなのかなぁ?」と語る。理由は「だって予約してからだと良くも悪くも準備できちゃうでしょ?その店だったり目的の車両のありのままの姿を確認する良い方法はお客さんが試行錯誤してもいいんじゃないかなぁ。例えば試乗したい場合とかも、その車両のありのままの状態が確認できるしね。まぁ、確かに今のコロナ禍だったりもあるし、そのクルマが倉庫の奥にあって出せないとか、いきなり行って誰もいないとかを避けるためには予約ももちろんありだけどね(笑)。大事なことはお店とお客さんの信頼関係をしっかり作る事だと思うよ。」と細井さんは力説する。それを防ぐには、やはり日頃からのメンテナンスが何よりも重要。

 

ガレージに保管して満足するのではなく、定期的にそのクルマに乗りコンディションを把握するべきだ。人間の体と違って、クルマは不具合が起きても勝手に修復しないし、愛車の健康状態を管理するのはオーナーの義務でもある。

'68 CHEVROLET CAMARO

細井さんは「レストアってひと纏めに言ってしまうけど、そのクオリティはまるでバラバラ。サビが出ている表面だけ削ぎ落としてペイントし直したものもあれば、完全に鉄板の地金まで塗装を剥いでサビを落とし、ハンダで埋めて再塗装するのとではどっちが良いか聞くまでもないよね。でも、当たり前だけど同じ時間でできる訳ないよね。今のクルマは簡単にボルトが外れるかも知れないけど、半世紀前のクルマのボルトを外すだけで丸1日掛かることもあるんですよ。でも、オーナーさんのことを考えたら、オイルが1滴も漏れないように仕上げようと心掛けているんです。それに対し少しでも労いの気持ちや言葉をかけてくれたらやり甲斐を感じられるのに、中には『まだクルマできないんですかぁ?』なんて言われちゃうと、悲しくなるよね」と、販売店の苦悩も語ってくれた。

 

ちなみに最近アメ車界では「カーズのクルマは走れるよね」という評価が定着しつつある。以前から誌面で語っているが、カーズでは車両を入手してすぐ店頭に並べるのでなく、とにかく走り込んで不具合箇所を洗い出し、それをメンテナンスしてから在庫として公開するので、言わばできる限り膿を出しているとのこと。

'68 CHEVROLET CAMARO

実際、レストアやメンテナンスには終わりはないし、どこまで費用が掛けられるかはオーナーの経済力にも関係する。でも細井さんは「これまでどんな人が、どんな手を加えて来たのかまったく分からない。だから限りなく新車の状態に近い100の状態に戻すことがもっとも重要だよね。そこからそのクルマでどうしたいかを考え、それから手を加えるべきでしょう。自分のカマロは外装は見てのとおりボロいですが、何より中身を重視しており、外装以外は徹底的に手が入っています。これまで乗って壊して改善してまた壊して…をひたすら繰り返しましたね。でもそうやって、自分が気持ち良く乗れるクルマに仕上げて来ており、現時点では85点かな」と語るように、まだまだ満足はしていない様子。

 

今後の予定としては、油圧サイドブレーキやエアコンを装備したいとか。「こんなボロなのに、涼しい顔してグリップ走行からドリフトまでキメてたら、どえらくカッコ良いじゃん!」と細井さんは語るが、その言葉の裏には「人もクルマも中身が大事!」というメッセージが込められている。

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ボンネットはサビて穴が空いているが、実は開閉時に必要な装備(笑)。ボンネットの開口部は養生テープを缶スプレーで塗装。見た目を気にしていないように思うかもしれないが、「遊鷹」氏のグラフティを随所に施し、独創的な世界観を構築。「ピカピカのビンテージに乗っている人は雨の日に乗らないとか、駐車する場所に気を遣うって言うけど、クルマの本来の使い方と違うんじゃないの?」とも、細井さんは語る。

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トコトン走りを探求するため、軽量化の一貫で不要な内張りやリアシートは撤去。その代わりロールケージやフルバケットシート、4点式シートベルトを装備。前後の重量バランスを考慮し、バッテリーは車内に設置。軽量のルームミラーやデジタル式の時計は、サーキット走行を考慮しての装備。ちなみに以前はフロアに穴が空いていたが、ボディ剛性を考慮し、樹脂素材で埋めており、着実に進化させている。

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エンジンは385を搭載。無闇にパワーを出しても意味はないし、400馬力以下にすることで耐久性も重視。ちなみにメインハーネスも交換済み。「半世紀前のクルマだから劣化していて当然だ。社外品を付ける前にまずはノーマルでリフレッシュすべき」とは細井さんの弁。キャブの下には断熱材を追加し、オイルキャッチタンクも装備。ちなみにナンバーズマッチにはまったくこだわらず、なぜかFORDの刻印が入るパーツを装着している。

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エンジンパワーを確実に路面へ伝えるため、ミッションはサムソナスの6速シーケンシャルドグミッションに変更。メンバーを加工し、ミッションクーラーも設置。ファイナルギヤを3.0に変更し、リアデフには2wayのLSDも内臓。なお、サスペンションは何度も試作を繰り返したエアペタル特注のビルシュタインを装着。ブレーキはディクセルの特注パッド&シューに変更するが、リヤはドラムで充分と語る。


THANKS:東海カーズ

TEL:0533-86-8890
PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野稜
アメ車マガジン 2021年 11月号掲載

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