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まるで純正の様なスタイルのスペシャルカスタムモデル【1978y キャデラック・デビル ・ラ・カブリオレ】

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American Classics Vol.97
CADILAC Devile Le cabriolet

キャデラックにとって、コンバーチブルというボディバリエーションはまさにアメリカンドリームそのものでもあった。しかしその存在が許されなくなった時、代わりに生産を継続したのはとあるカスタムコーチビルダーだった。現代に生息するレアモデル。

その完成度の高さは
まさにメーカー純正と同等
繊細に作り込まれたカスタム

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豊かさの象徴だった
カブリオレというスタイル

アメリカ車に限らず、どんなクルマにとっても「カブリオレ」というボディスタイルはいつの時代も特別な存在だった。それは名称が「コンバーチブル」になっても「ドロップヘッドクーペ」になっても同じだった。ある意味、雨風をしのぎつつ快適に移動できることを前提とした「自動車」において、敢えて耐候性にリスクのあるソフトトップの採用は、それと引き換えに様々な構造変更と装備を必要とした。爽やかな風や暖かな陽の光を浴びてドライブすることを楽しむためだけに掛けたそれらのコストは、いうまでもなく贅沢さの象徴でもあったというわけである。20世紀初頭に誕生したばかりの「自動車」にはそもそも屋根などなかった。ドライバーもパッセンジャーも風雨にその身を晒して走っていたのだが、当時は程なくして現れた、耐候性に優れた全鋼製のボディこそが贅沢だった。しかしそれが当たり前になった時点で、人間には別のワガママが生じることとなった。その象徴だったのがカブリオレであり、コンバーチブルであり、ドロップヘッドクーペだったというわけである。ちなみにカブリオレとはドイツ、イタリア、フランスなどのヨーロッパ圏での一般的な呼称。同じくコンバーチブルはアメリカでの呼称、ドロップヘッドクーペはイギリスでの呼称だった。このほかにはセダンやリムジンの運転席部分だけが開放されていた「セダンカ・ドゥヴィル」や、逆に後席部分がソフトトップになっていた「ランドゥーレット」といったモデルもあったがこれは余談である。ともかく、20世紀も半ばになるとこうしたコンバーチブルはソフトトップを設計製造する技術の進化と共に、トップを閉めている時は全鋼製のクローズドボディとさして変わらぬ耐候性を得るまでに至った。そして既述したとおりそれと引き換えに、全鋼製ボディのクルマにとって重要なボディ応力担当部分だったルーフを失った結果、別の個所に追加することが必要になったボディ補強や長年にわたって風雨に耐えることができるソフトトップ素材の研究などが進化することになったというわけである。

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ボンネット先端のフードマスコットはヘス&アインハート社のエンブレム。

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現状ではローライダーの小径ワイヤースポークホイールが装着されているものの、これは暫定的な措置でありボディ側にローライダーとしてのモディファイなどは一切施されてはいない。フルノーマルで維持したい一台である。

コンバーチブルの衰退、そして復活

アメリカ車のラインナップにおけるコンバーチブルは、一般には1940年代の終わりから1950年代に掛けて揺るぎないプレミアムモデルとしての地位を確保することとなった。とくに各メーカーで最上級レンジを担っていたブランドの、さらに最上級モデルにおけるコンバーチブルは、まさにメーカーを代表するプレミアムカーとして認識される様になった。必然的に各メーカーのエンジニアはその開発に新しい技術を注ぎ込むこととなり、経営陣も潤沢な資金を投入することとなったのである。その結果、アメリカ車各メーカーのコンバーチブル代表モデルは驚異的な進化を遂げることとなる。油圧や電動を使いスイッチ一つで作動するパワートップはごく当たり前の構造となり、フォードなどは空前絶後というべき可動式のハードトップをトランク内に収納可能なコンバーチブルまで市販する。クルマにおけ付加価値としては、まさに揺るぎない存在だったのがコンバーチブルだったのである。しかしそんなコンバーチブルにも、時代の流れで危機が訪れることとなったのが1970年代初めだった。高まる安全意識のなか、交通事故時の危険性を大きく取り上げられることとなったコンバーチブルは、保険料の高騰と共に市場から次第に消えて行くことを余儀なくされる。純然たるプレミアムモデルであればこうした危機は乗り越えられたかもしれないが、アメリカの場合は、コンバーチブルが大衆車レベルまで浸透していたことが逆風となったことは否定できない。その後、1980年代以降にコンバーチブルは新たな安全基準と共に復活することとなるが、1970年代においても完全に廃れたわけではなかった。コンバーチブルに特別の感情を抱いていた人のために、カスタムコーチビルドモデルとしてごく少数が生産されていたのである。その代表というべき一台が、今回紹介するキャデラック・デビル・ラ・カブリオレ。社外コーチビルダーによる純然たるカスタムモデルであった。

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ホワイトのソフトトップに小さなリアウインドウがカスタムモデル的な雰囲気を醸し出している数少ない部分。リアバンパーにはスペアタイヤをマウントしたコンチネンタルキットが装着されている。

デビルと共に復活した
スーパーレアモデル

キャデラックの歴代ラインナップにおいて、「デビル」というモデルは戦後に登場したミドルレンジグレード、すなわち最量販モデルというキャラクターを備えていた。当初はクローズドボディのみだったデビルに、コンバーチブルボディが加わったのは1961年モデルからのこと。その後、1969年モデルまではコンバーチブルがラインナップされたが1970年モデルでカタログからは消滅し、その後のキャデラックのコンバーチブルは、FFシャシーのトップモデルであるエルドラドでしか選択できなかった。こうした状況下、昔ながらのFRシャシーでのコンバーチブルを求める人々は、とくに富裕層の間では少なくなかった。キャデラックのFRモデルは、1977年にはそれまでのホイールベース130インチから121.5インチへと大幅なダウンサイジングを受けることとなるのだが、それでもFF化されて久しかったエルドラドとは支持層が異なっていた。そして多少価格は張っても「FRでのコンバーチブルが欲しい」というワガママなユーザーのために、ストレッチリムジンや装甲リムジンといった特殊車両の改造を手掛けていた、オハイオ州ローズメインのヘス&アインハート社が1978年から製造することとなった。そして誕生したのが、キャデラック・デビルをベースとしたカスタム・コンバーチブルの「ラ・カブリオレ」だったというわけである。車両の改造はデビル・クーペのホワイトボディを定盤上の冶具に固定し、ルーフを切り取った後に重要部分を補強、トランクとキャビンの間にソフトトップメカを装着するという手法で行なわれた。文字にするとわずかな量で済んでしまう工程ではあったものの、実際の改造に当たっては基本的には試行錯誤の連続であり、わずかの期間で完成にこぎ着けることができたのは、コーチビルダーとして豊かな経験と深いノウハウを持っていた会社だったからといって良い。こうして完成したキャデラック・デビル・ラ・カブリオレは300台が限定生産され、瞬く間に完売することとなった。そのすべてが事前にアナウンスされた上での予約生産だったともいわれている。ソフトトップと補強されたボディ以外の部分は、量産型のデビルに準じてはいたものの、インテリアのカラーなどはコーチビルドモデルらしく複数のなかから選択できた。現在、生産された300台のなかで相当数が生存している個体を見ても、今回紹介しているホワイトのレザー以外にレッドやブラックのレザー、ベンチシート以外のセパレートシート仕様なども確認されている。このモデルの特徴はカスタム・コーチビルドモデルでありながら、インテリアはもとよりエクステリアのディテールに至るまで、純正の様な完成度の高さにある。ボディサイドに小さく配置されたラ・カブリオレのエンブレム、そしてヘス&アインハートのフードマスコットを見るまでは、純正のキャデラック・コンバーチブルと多くの人が思ってしまうことは間違いない。いや、そもそもラ・カブリオレの存在自体が極めてマイナーであることから、その存在自体に気付かないことも多々あると思われる。カスタムモデルでありながらとくに自らを主張することなく、キャデラックというブランドにおけるコンバーチブルの歴史の一部を継承する立場を選択したこの控えめな存在は特筆すべきことである。キャデラックの純正コンバーチブルは、最後まで残ったエルドラドにおいても1978年モデルを最後にカタログからは消滅することとなった。その後は、このラ・カブリオレが事実上のラストキャデラックコンバーチブルとして、とくにコアなマニア垂涎の一台として現代に伝えられているのである。なおヘス&アインハートによるスペシャルコンバーチブルのラ・カブリオレは、1978年モデル以外にも1979年モデルが確認されている。このほかにも複数の年式の存在があるといわれているが、いずれも生産台数は極めて少なく、その詳細は明らかではない。量産モデルとは異なるカスタムキャデラックの雄、まさにここにありというべき一台である。

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コンチネンタルキットはトランク容量を確保するための実用アイテムだった一方で、この時代では古き良き時代を象徴する人気のカスタムアイテムだった。

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フロントマスクはスタンダードのデビルとまったく変わらない。堂々とした格子模様のクロームグリルと分厚い大型のバンパーがこの時代の特徴である。

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フロントマスクはスタンダードのデビルとまったく変わらない。堂々とした格子模様のクロームグリルと分厚い大型のバンパーがこの時代の特徴である。

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ボディはダウンサイジングされたとはいえ、ホイールベース121.5インチは依然としてフルサイズそのもの。エンジンもキャデラックブランドの425ciが搭載されていた。ピークパワーよりもトルク特性を重視したパワーユニットだった。

上質なインテリア充実した装備
キャデラックの自信

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シンプルなデザインのステアリング、カラーコーディネートされたクラスターパッドと磨き上げられたウッドパネルは、キャデラックならではのクオリティポイントだった。

シートとインテリアトリムは美しいホワイトのレザーだった。ほかにはレッドの個体などもあった。シートはベンチタイプだが、これもセパレート仕様が確認されている。

1978 CADILAC Devile Le cabriolet
全長 221.2 inch
全幅 76.4 inch
全高 54.4 inch
ホイールベース 121.5 inch
エンジン種類 V8
総排気量 425cu:in
内径×行程 4.34 in / 3.38 in
圧縮比 8.2 : 1
最高出力 180 hp/ – rpm
最大トルク 320 lbs-ft/ – rpm
燃料供給装置 carburetors
トランスミッション 3 speed automatic
サスペンション 前
サスペンション 後
ブレーキ・前
ブレーキ・後
トレッド・前
トレッド・後
ホイールサイズ GR78 – 15
タイヤサイズ 15
タンク容量 25.4 US gallons
車両重量 4299 lbs

■取材協力/HOT SPOT
tel.048-972-4891 http://www.hotspot-usa.com/
■解説/矢吹明紀 http://ameblo.jp/akiyabuki/
■写真/マーク清原

2018年 アメ車マガジン 2月号掲載


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