1974y FORD MERCURY COUGAR XR7

上級コンパクトとして生を受けたマーキュリー・クーガーは1971年以降というもの、キャラクターをリンカーンのミニサイズというべき上級へと次第に変化させていった。シャシーコンポーネンツを一新しインターミディエイトベースとなった1974年モデルからのクーガーは、そうした新たな方向性が一層顕著となったエポックメイキングなモデルでもあった。

1974年モデルにおいて、マーキュリー・クーガーは前年までのコンパクトカーベースから新たにインターミディエイトベースへとシャシーコンポーネンツを一新することとなった。その結果、デビュー当初はコンパクトスペシャルティカーだったクーガーは、より上級カテゴリーのスペシャルティとしての道を歩み始めることとなった。それはここで紹介しているXR7ハードトップのシルエットとディテールを見れば明らかである。
フォード内で同じブランチを構成するリンカーンを思わせるスクエアなボディと印象的な独立グリル。そして新時代のセーフティルールに則した大型のバンパー。この時代のクーガーは、当時多くの日本人が思い浮かべるまさにザ・アメリカ車だった。それはインテリアにも良く現れており、分厚いレザーのルーズクッションシートやきらびやかなクロームトリム、充実した装備類もまたこのモデルが特別な存在であることを主張していたと言って良いだろう。
エンジンが全てV型8気筒だったのも上級モデルゆえのこと。バリエーションは今回紹介しているモデルに搭載されている351ci/2バレルキャブを標準に、351CI/4バレルキャブ、400ci/2バレルキャブ、460ci/4バレルキャブとなっていた。この中で351ciと400ciはクリーブランドブロック。460は385ブロック、いずれもフォードの新型V8だった。最高出力は標準の351で163hpに過ぎなかったものの、これは排気ガス規制とSAEネット表示の結果であり、半ば仕方のないことだった。
初代クーガーにはGTやエリミネーターといったハイパフォーマンスグレードも存在していたが、それらを捨て去ることで新たな道を目指すこととなったのがこの時代のクーガーだったというわけである。

コンバーチブルのソフトトップをイメージしたいわゆるランドゥトップと小さなオペラウインドウは、この時代のプレミアムモデルにおける流行のスタイルだった。

タービンブレードをイメージしたホイールキャップはシンプルなデザインながら相応のクオリティを感じるものだった。ボディに対して控えめな足回りではあった。
たっぷりとしたサイズのホワイトレザーのベンチシートはこれも当時流行だったルーズクッションデザインである。こうしたインテリアへのこだわりは上級ブランドのリンカーンにも似たクーガーの新しい販売戦略に即したものだった。深いフードとパッドに覆われたダッシュボードは丸形ゲージのスポーティなデザイン。
スタンダードの351ci2バレルキャブユニット。従来のウインザーブロックに対して新型のクリーブランドブロックはディテールを見直した新時代のスモールブロックだった。圧縮比を抑えていたためピークパワーは163hpと低かったがトルクは十分だった。
■取材協力:ガレージジョーカー(http://www.garage-joker.com/)
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