クーペ

チャレンジャーを含むマッスルカーの販売がアメリカで絶好調

2019 Dodge Challenger SRT Hellcat Redeye Widebody

2019 Dodge Challenger SRT Hellcat Redeye Widebody

TRAGET THE CHALLENGER

日本でもアメリカでも、マッスルカーの主役は チャレンジャーだ!

マンハッタンがマッスルカー色に染まった。9番街のハドソン川沿いのジャコブス・コンベンションセンターに2019年も、アメリカンマッスルカーたちが集結したのだ。2019年4月中旬に開催された恒例のニューヨークモーターショー。

毎年、最新のスポーツカー、スーパーカー、そしてマッスルカーが勢揃いするイベントとして世界が注目している。その中心にドォ~ンと構えていたのが、ダッジ・チャレンジャーである。

ニューヨークモーターショー、マッスルカー祭りへの道のり

チャレンジャーの最新動向をご紹介する前に、ここへ来てチャレンジャーを含むマッスルカーの販売がアメリカで絶好調になっている背景を知っていただきたい。

マッスルカーといえば、1960年代中盤から70年代初頭が最盛期だと言われてきた。第二次世界大戦後にアメリカは経済大国として急成長し、当時の米ビック3(GM、フォード、クライスラー)や様々な新興メーカーが次々と新作を市場に放った。

トレンドとしては、「ボディは立派な方が良い」、または「ハイパワー・ハイトルクは必然だ」という大型化の志向が主流となった。そうした中で、2ドアクーペというモデル領域のスポーティ版としてマッスルカーたちが生まれた。周知の通り、フォードはマスタング、GMシボレーはカマロ、そしてクライスラーはダッジ・チャレンジャーがマッスルカー御三家となった。

だが70年代中盤になると、マッスルカーは事実上、死滅した。厳しい排ガス規制であるマスキー法の施行、さらに世界的なオイルショックによるガソリン価格の上昇が、大食いマッスルカーの息の根を止めた。

80年代になると、マスタングもチャージャーも「名ばかり」の状態で、小型スポーツカーに成り下がってしまう。そうしたマッスルカー冬の時代が2000年代になり、やっと終わる。マスタングをきっかけに60~70年代のマッスルカーのイメージに原点回帰する動きが出てきたのだ。

この時期、クライスラーはハイパフォーマンス系の開発チームを再構築した。まず、社内プロジェクトとして「スカンクワークス」を立ち上げた後、ブランドとしてストリート&レーシング・テクノロジー(SRT)を正式にデビューさせた。

SRT創設初期、チャレンジャーの姿はまだない。当時、クライスラーは独ダイムラーからの資本参加を受けており、メルセデスベンツとの部品共用などが目立った。

SRT4、SRT6、SRT8、SRT10といった小型から大型モデルまでのフルラインアップ体制を敷いた。だが、300Cやマグナムが主体であり、チャージャー、そしてチャレンジャーが60~70年代のイメージで再登場してもSRTの主流にはならなかった。

こうした流れがその後、大きく変わる。2008年、いわゆるリーマンショックの影響で米自動車市場は壊滅的なダメージを受け、その結果としてクライスラーは事実上、倒産した。事業再生として、当初は投資会社がクライスラーを引き受けた後、イタリアのフィアットがクライスラーを買収。ブランドとして、ダッジとラムトラックに分離させた。

こうした紆余曲折を経て、2010年代になるとやっと、チャレンジャーは古き良きマッスルカーとしてのヘリテ―ジをフル活用することになる。

ライバルであるマスタングとカマロの場合、アメリカでの売れ筋は廉価なベースモデルであり、シェルビーやSSなどは、「ベースモデルとは一歩違う、特別枠」というイメージが強い印象がある。

一方、チャレンジャーの場合、ベースモデルよりもSRTがチャレンジャーブランド全体をグイグイと引っ張るイメージが目立つ。さらに、パフォーマンスの指標で、クォーターマイル(1/4マイル)加速時間と最高速度を重要視しているのが特徴だ。

そのため、ブランド戦略としてはNHRAなどドラッグレースを主体としており、マスタングとカマロのボディデザインを参考としたスペックカーであるNASCARマシンのイメージとは一線を画している。

スター&ストライプが登場、その意味することとは?

では、話をニューヨークモータショー2019に戻そう。ここ数年、アメリカの景気は絶好調。最近は中国との貿易摩擦問題でニューヨークの株価が乱高下しているが、自動車販売が全般的に好調。トレンドとして、SUVシフトとハイパフォーマンス化だ。

ハイパフォーマンスを求めるユーザーは一般的に、欧州派(AMG、M、またはポルシェ)と米マッスルカー派に二分される。そのマッスルカー派に向けて、ダッジはチャレンジャーのラインアップを一気に拡充させているのだ。

筆頭は、SRTヘルキャット・レッドアイ。6.2ℓ+スーパーチャージャーによる797馬力と、ノーマルヘルキャットの717馬力を凌ぐ。トップスピードは「200の大台超え」の時速203マイル(325km)というケタ外れ。そんな超ハイパフォーマンスに向けた、ドラッグレース仕様としてユーザーが注目していたのが、392HEMI搭載の485馬力、R/Tスキャットパック1320だ。

ダッジ関係者によると、R/Tスキャットパックを「よりデーモンに近づけたいオーナー向けに」と開発された追加パッケージだ。さらに、エクステリアデザインでは、3.5インチアップとなるワイドボディパッケージが、すこぶるカッコいいと大評判。

そして、今回のショーで初公開されたのが、スター&ストライプ。外装色をミリタリーグリーンのメタリック調としてブラックの帯をまとった。アメリカファーストを強く押し出すトランプ政権を象徴するような、「強いアメリカ」として「強いアメ車」を象徴するモデルである。チャレンジャー主導のマッスルカー祭りは、まだまだ続きそうだ。


1970 DODGE CHALLENGER R/T

1970 DODGE CHALLENGER R/T、1970 ダッジ チャレンジャー R/T

シボレー・カマロ、フォード・マスタングの2大コンパクトスポーツモデルに対抗し、1970年に登場したダッジの新型コンパクトスポーツ「チャレンジャー」。初代型は74年まで。


2008 DODGE CHALLENGER SRT8

2008 DODGE CHALLENGER SRT8、2008 ダッジ チャレンジャー SRT8

2006年にチャレンジャー・コンセプトとして発表された第三世代チャレンジャー。市販車第一弾は2年後の08年となり、グレードはSRT8のみだった。09年モデルからスタンダードグレードのSE、R/Tが追加された。


2019 DODGE CHALLENGER R/T Scat Pack 1320

2019 DODGE CHALLENGER R/T Scat Pack 1320、2019 ダッジ チャレンジャー R/T スキャットパック1320

The SRT-tuned three-mode Adaptive Damping Suspension is electron

デーモンに変わり、ドラッグレース特化モデルとして2019年型にパッケージとして登場したのがスキャットパック1320。数字の1320 とは、直線距離1320 フィート(1/4 マイル)を意味し、ドラッグモード付き減衰力調整サスペンション、ラインロックなどが標準装備。


2019 CHALLENGER R/T Stars & Stripes Edition

2019 CHALLENGER R/T Stars & Stripes Edition

20インチグロスブラックホイール、ブロンズ製ブレンボ4ポットキャリパー

ニューヨークモーターショー2019で初公開された、チャレンジャー・スター&ストライプ・エディション。チャレンジャーは軍事関係者が多く所有する傾向にあり、国を守る隊員に敬意を払う意味も込めて、ボディをミリタリーグリーンにし、ブラック&シルバーのセンターストライプ、星条旗デカールがフェンダーに入る。20インチグロスブラックホイール、ブロンズ製ブレンボ4ポットキャリパーとなり、インテリアはスター刺繍やブロンズのステッチが施される。2019年夏から発売が開始されるようだ。チャージャーにも同じ設定が用意される。


解説:桃田健史(モータージャーナリスト)

アメ車マガジン 2019年 8月号掲載


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