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まさにマッシブなパワーがマッスルカーの真髄だ!

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ESSENCE of the AMERICAN MUSCLECARs

過激に挑め!! MUSCLE WARS

本来のアメリカンマッスルカーの定義は、V8エンジンを積む暴力的なパフォーマンスを誇るインターミディカーのことだ!

現在のモダンマッスルと比較する上で、元祖「マッスルカー」のことをビンテージマッスルと呼ぶようになったが、本来の「アメリカンマッスルカー」の定義や、そのルーツは意外と知られていない。そこで、ここでは「マッスルカーの真髄は何か?」という部分にフォーカスする。

まさにマッシブなパワーがマッスルカーの真髄だ!

「マッスルカー」という言葉は、クルマ好きを中心に近年では日本でも通じるほど浸透している。実際にそうしたモデルを所有する人となると、かなり限られるものの、憧れたり、ファンという人は増加傾向にある。時間の経過とともに、希少価値が高まり、人気の映画での採用の他、注目のセレブリティー達も実生活で所有しているなど、ステイタスの面でも世界的に評価が上がっている。

社会的にはクルマは年々移動手段としての利便性や安全性、エミッションに重点が置かれ、パフォーマンスやドライブする楽しさは二の次といった感じ。それに対してマッスルカーは、総合的な運動性能に優れるスポーツカーと違って、軽量で強靭なボディにとにかくマッシブなエンジンパワーが特徴。大排気量であることが魅力に直結している。それゆえに、排気ガス規制の制定とともに、衰退してしまった。現代の価値観からしても、真逆なだけに、ある意味では反社会的ともいえるが、そうしたヒールなキャラクターも、アメリカンマッスルの魅力的な要素としてプラスに作用している。

一般的にドライブを楽しむ上では、いわゆるスポーツカーやスポーティなモデルで満足できる。しかし、週末のレースも楽しむとなると、さらなるモディファイが必要になってくる。レースにも様々なカテゴリーが存在するが、ことアメリカの場合、最もベーシックで国技ともいえるほどメジャーなドラッグレースが基本中の基本となる。戦後に一大ムーブメントとして全米で浸透してから、現在までアメリカの自動車趣味の頂点でもあるホットロッドの動向とシンクロして、ドラッグレースにおける1/4マイルのタイムが、クルマの性能を判断する基準値でもある。それだけに、アメリカでは、ドラッグレースは日本とは真逆で、最もポピュラーな存在なのだ。

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高校のクラブにドラッグレース部があったり、ドラッグレース場の数も多く、バッティングセンターと同じような感覚で利用したり、カジュアルに楽しめるのがポイント。取り立ててクルマ好きでなくとも、愛車を所有していれば大抵の人がドラッグレース経験者だったりするのだ。そして、その加速度は、どんな高性能スポーツカーをも凌ぐ圧倒的な速さ。エンジン出力では、最新のスポーツパッケージ車の方が、数値的には上でも、実際のタイムでは、ビンテージマッスルの方が、平均的に速かったりする。

そして何よりも、トラクションコントロールやABSなどの制御装置を一切持たない上、平均で1.5トン程度の軽量な車重のおかげで、圧倒的な体感を味わうことができる。ハイグリップタイヤを装着した場合、大抵の人ならば恐怖を感じるレベル。アクセル全開でスタートすれば、ハイグリップタイヤでも簡単にタイヤスモークとなり、挙動によってトラクションがかかった瞬間、すっ飛んで行くので、経験や感覚では制御できない。そんな性質も含め、ストリートカーとしては恐ろしい存在なのがマッスルカーなのだ。同乗者にとっては絶叫マシンともいえるレベル!そのポテンシャルや耐久性の高さは、半世紀が経過した現在の基準でも優れていることから、世界的に再評価されている。

ポンティアックGTO

ポンティアックGTOはマッスルカーのアイコン的なクルマだ。軽量で頑丈なインターミディ車に、フルサイズ車ならではの大排気量エンジンをモディファイした上で搭載した、メーカー純正ホットロッド ! ドラッグレースで本領を発揮する圧倒的なエンジンポテンシャルは、恐怖を感じる領域なのだ!


「マッスルカー」のキーワードは暴力的なパフォーマンスを誇っていること!

PLYMOUTH ROADRUNNER / DODGE CHARGER

PLYMOUTH ROADRUNNER

DODGE CHARGER

ワーナー・ブラザースの人気アニメのキャラクターをそのままモデル名に採用したロードランナー。若者にも手の届くビッグブロック搭載マッスルを目指し、快適装備をスポイルして、軽量かつ低価格を実現。標準で4バレル(335hp)仕様の383ciを搭載、豪華版のGTXでは標準で440(375hp)を搭載と、いずれも生粋のマッスルカーというのがMOPARらしいところ。ダッジの姉妹車コロネットでは、ダッジのハイパフォーマンスの称号、R/Tが存在するが、ロードランナーに対して、蜂をモチーフにしたオリジナルのキャラクターを押し出したスーパービーをラインナップ。そして、同じBボディを共有するラグジュアリー志向には、66年よりチャージャーがラインナップ。コンシールドライト&バイナルトップのコンビがデフォルトで、劇中車では大抵悪役サイドのヒールなキャラで人気。いずれのモデルには、スーパーバード、デイトナチャージャー、チャージャー500と、 空力に特化したNASCARウォリアーズの存在が有名。

PONTIAC GTO

PONTIAC GTO

PONTIAC GTO

当時のGMは、レースへの参加やハイパフォーマンス仕様のリリースに消極的だった。しかし、ジム・ワンガース、ジョン・デロリアンといったの首脳陣は、高性能なハイパフォーマンスモデルを熱望。社内の制約をかいくぐるように、GTOは64年と翌65年の段階ではポンティアック・ルマンのオプション・パッケージという形でリリース。325hpを発生する4バレル仕様の389ciエンジン、デュアルエキゾースト、Hurst製シフター、強化サスなどで武装。2バレルを3連装する“Tri-Power”6バレルは、GTOの象徴的な装備。ネーミングのGTOは、GTレースのホモロゲ仕様を意味するフェラーリGTOと同じだが、レース仕様ではなく、社内では“グランド・テンペスト・オプション”とも呼ばれた。単独モデルとしてのラインナップは66~71年。ホットロッドのフィールドでは縦目の66~67が人気だが、マッスルファンには劇中車を通して70年型が人気。

CHEVROLET CHEVELLE

CHEVROLET CHEVELLE

CHEVROLET CHEVELLE

フルサイズとコンパクトの中間を埋める存在として、新たに導入されたインターミディのAボディによってラインナップしたシェベルは、シボレーの歴代モデルの中でも最も高セールスとなった人気モデル。64~77年に3世代にわたりラインアップされている。クーペ、コンバーチブル、2ドア・セダン、4ドア・セダン、ステーションワゴン、2ドア・ワゴンと、ボディバリエーションが豊富なことや、シンプルなスタイリング、ホイールベースは、50’sシェビーを代表する“トライシェビー”(55~57年型)を模範としてのこと。SSことSuper Sportオプションでは、セパレートシート&センターコンソールをはじめ、標準の3速マニュアルに対して、マンシーのアルミ製4速マニュアルを装備。ハイパフォーマンスエンジンには282、327、396が設定。2ndの70~72年には最大級の454もラインナップ。最強モデルとして、超限定のCOPO 427が数十台単位で存在する。

FORD FAIRLANE

FORD FAIRLANE

FORD FAIRLANE

ドラッグレースにおけるスーパーストックが人気の頂点だった60年代初頭から、モパーとフォードは主力モデルをベースにした専用モデルを開発し、積極的に参戦。中でも64年のフェアレーンをベースにしたドラッグ仕様のサンダーボルトは、ホットロッド史にも名を刻む名車としてもお馴染み。軽量かつ頑丈な“ポストカー”ことBピラーのある2ドア・セダンのみをベースとし、フード、ドアスキン、フェンダー、フロントバンパーをファイバー製で軽量化。レース用に激しくモディファイした427エンジンを搭載。ヘッドライト部を吸入口とするラムエアーシステムも完備。レースでの活躍によって、ベースのフェアレーンもマッスルカーのベースとして人気。マーキュリーからはサイクロンがラインナップ。ちなみに、MOPARもシェビーも同様のスーパーストック仕様をリリースしているが、シェビーは最強の427搭載ながら、NASCAR仕様も考慮してベース車がフルサイズのインパラだった点で不利。


ビッグパワーを誇るマッスルパッケージ車が本来の「筋肉車」

クルマの速さを競う上で、最もシンプルで明快なのがドラッグレースだ。ストリートでの違法レースから始まって、1951年に発足したはNHRAによってモータースポーツとして制定された。最も参加者数の多いメジャーモータースポーツとして、国技ともいえるほど定着している。総合的な運動性能ではなく、とにかく1/4マイルをどれだけ速く走れるかがポイント。クルマを手に入れたら、まずは1/4マイルのタイムを計測するのがアメリカでは基本なのである。

NHRAがメジャーモータースポーツへ、ホットロッドがカルチャーへと発展したのも、「マッスルカー」の誕生にもドラッグレースは直接影響している。いろんな意味で、最も積極的だったブランドといえば、マッスルカーのアイコン的な存在でもあるMOPAR。クライスラーのエンジニア達は、速さを追求する上での技術や手法を、実際に検証、証明する手段として、会社とは関係なく、50年代よりドラッグレースに参戦。彼らによる49年型のプリマス・ビジネスクーペは記録を更新し、チームとしての「ラムチャージャーズ」の活躍も含め、ホットロッドの歴史にもその名を刻む重要な存在だ。

現在ではとても考えられないが、デトロイトの大通りでのストリートドラッグにも、エンジニア達はモディファイしたマシンを持ち込んで速さを証明していたのだ。そうした熱い想いによる活動がメーカーの首脳陣の考えを動かし、マッスルカーが市販車としてもライナップされることになった。とりわけレースに積極的だったMOPARは、ドラッグレースでのワークス参戦はもちろん、アマチュアレーサーを様々な面でサポートするべく、ダッジでは「スキャットパック・クラブ」、プリマスでは「ラピッド・トランジット・システム」を設置。そうした活動がユーザーからの熱い支持にもつながっているのだ。

そして、販売されたモデルも、他のメーカーと違って、雰囲気だけのパッケージなどでは無く、徹底してポテンシャルの高いエンジンを設定。お馴染みのロードランナーなどは、標準でハイパフォーマンスなビッグブロックを搭載する紛れもないマッスルカーであることがポイント。ダッジにおけるR/T(ロード&トラック)においても同様で、実際のセールスでは他社に劣ったが、マッスルパッケージのラインナップ数の多さや、1モデルに対するマッスルパッケージの割合でもダントツ。

MOPARマッスルのオーナーたちは、当時よりレース参戦に積極的だったこともあり、希少なはずのマッスルパッケージの現存率が高い。他社よりもセールス面では劣っていたが、HEMIエンジンによってレースやホットロッドの世界では数多くの伝説を築いた。ハイパフォーマンスモデルのニーズが低下した排気ガス規制後は、主力モデルだったチャレンジャーもバラクーダも、潔く廃止したため、往年のモデルに人気が集中している。

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対照的に人気も規模も格段上のGMは、他社と比べるとレース参戦は消極的、しかも、ハイパフォーマンスなモデルによる事故の増加で、保険料が値上がりしていたこともあり、社内の取り決めとして、フルサイズ車以外で、400ciを超える大排気量エンジンの設定が許されるのはコルベットのみとしていた。ところが、ポンティアックのエンジニア勢には、ジョン・デロリアンを始め、鼻息の荒い開発者がおり、MOPARと同様に、会社に関係なく実験的にマシンを製作し、ストリートドラッグにてテストしたり、400ci以下と定められた設定エンジンに対して、オプションということで回避してGTOに400ciを搭載。それらが高セールスとなっても、400ci以下の規定は変わらなかったため、ドラッグレースでのスーパーストックに参戦するには力不足。レギュレーションをクリアする工場出荷モデル(COPO)として427を搭載するべく、パフォーマンス・ディーラーであるドン・イエンコの働きかけによってCOPOカーが設定された。GMは大排気量に消極的だったが、その分、スモールブロックにおいてのシェビー350は、パワー、レスポンス、耐久性など、総合的に優れていただけに、ストリートロッドやビンテージカーなど、メーカーの垣根を超えて、換装用エンジンの定番として浸透しているのだ。

フォードはより広いファン層の獲得に向け、キャロル・シェルビーを引き入れてルマンを制覇。NASCARではMOPAR勢のHEMIを打ちのめすためのBOSSエンジンを開発したり、ドラッグレースにもワークスチームを送り込み、積極的にレースに参戦した。ホモロゲーション仕様車を含め、様々なマッスルパッケージを導入している。しかし、他社に比べ保守的なユーザーが多かったためか、全体のセールスはトップレベルでも、ハイパフォーマンス仕様の割合はかなり低め。その点はMOPARとは真逆だ。

マスタングの登場により新たにポニーカーというカテゴリーが誕生

フォードは、コンパクトで控えめな大衆車であるファルコンをベースにしながらも、スタイリッシュなデザインで、パーソナルカーとしての上品に仕立てたマスタングを開発。ファストバック、クーペ、コンバーチブル3種でラインナップし、スポーツカー然としたルックスと装備を持ちながらも、フレンドリーな「ポニーカー」と言われる新たなカテゴリーを開拓した。当時のニーズは、スポーツカーに魅力は感じても、実際には無難で扱いやすいコンパクトというのが実情だった。メインユーザーとなるベビーブーマー世代のニーズにガッツリとハマったマスタングは、爆発的なセールスを記録。

ほぼ同時期に、プリマスはコンパクトなバリアントをリリースしたが、話題にはならず、ポニーカー路線に向けて、バリアントをファストバック化したバラクーダを投入。大きなセールスにはならなかったが、コンパクトにしてHEMIを搭載した市販ドラッグ専用車は、現在でもスーパーストック最速を誇る。ロー&ワイドなEボディでチャレンジャーと姉妹車になる70~74年型に人気が集中する。

GMは67年にシボレー・カマロ、ポンティアック・ファイヤーバードを新たに投入。ルックス、パフォーマンス、扱いやすさなど、総合的に優れており、RSではコンシールドヘッドライトが採用され、マスタングには無いクールなキャラクターがある。SCCAのTrans Amレースではポニーカー・ウォーズというほど、各社のマシンが一同に参戦。ロードレースカーとして総合的な運動性能の高さをアピール。そこで活躍したレースカーがアイコン的な存在となり、往年のポニーカーは、マッスルカーと連動して高い人気を誇っている。マスタング、カマロ、チャレンジャーのいずれも、初代のデザインをオマージュして復活しているのもポイント。

「ポニーカー」でもマッスルパッケージ車であればマッスルカーということになる。

FORD MUSTANG

FORD MUSTANG

新たなカテゴリーとなったポニーカーの先陣を切ったのがマスタング。ポニーカーの愛称もマスタングから由来している。コンパクトな大衆車のファルコンをベースに、スポーティなパーソナルカーに仕立てた。画期的なオプションの導入によって、カスタムオーダーのように、ユーザーの好みが反映できたのも大きなポイント。日本への正規輸入車は高級車として、ファストバック&V8が基本。シェルビーによってスポーティなイメージが強いが、アメリカでの割合はクーペ、そして直6エンジンが圧倒的に多い。マーキュリーからは姉妹車としてクーガーをリリース。コンシールドヘッドライトの採用など、当時の高級車のトレンドが採用されよりラグジュアリーなアプローチ。

CHEVY CAMARO

CHEVY CAMARO

シボレー初のポニーカーとしてラインナップしたカマロは、マスタングに真っ向から対抗すべく“パンサー”のコードネームでスタート。スタンダードに対してコンシールドヘッドライトを採用するRSとの2本柱体制は、マスタングの姉妹車クーガーも標的ゆえ。Trans-Amレース参戦に向けたホモロゲーションとしてZ28を設定。後にZ28=カマロのハイパフォーマンス仕様の象徴として現在でも継続している。この時点では、エンジンは5ℓ以下というレギュレーションに合わせて302ciを搭載。姉妹車のポンティアック・ファイヤーバードは、レース名であるTrans-Amをスポーツグレードにラインナップするが、ファーストジェネレーションの69年型の出荷数はわずか697台だった。

DODGE CHALLENGER

DODGE CHALLENGER

69年以前の初代バラクーダはコンパクトなAボディ車で、ダッジの姉妹車は同じAボディのダード。70年には、全力でTrans-Amレースでの勝利を目指して、新たにEボディを投入。ここでダッジは姉妹車としてチャレンジャーが登場することになった。ロー&ワイドな戦闘的ともいえるスタイリッシュなプロポーションが魅力である。ホモロゲーション仕様にはズバリT/A(トランザム)のネーミング。バラクーダではレースチーム名のAARをモデル名にしている。ハイパフォーマンス仕様はロード&トラックを意味するR/T。バラクーダでは短縮した’Cuda。いずれも名ばかりでなく4、6、8バレル仕様でマッスルカーなのである。ポニーカーとは、サイズカテゴリーを指すものであり、パフォーマンスには関係がない。


Text ◆ Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2020年 7月号掲載


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